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ハッピーエイジャー対談

第8回(中編)“予防医療新時代”と免疫療法の可能性

横浜クリニック 院長

青木 晃

今回は当機構(略称:age)の理事である青木晃先生に、ご専門であるアンチエイジング医療や予防医療について、普及のためにはどのようなアプローチが有効なのか、全く新しい視点からの予防医療のインフラ作りを紹介していただきます。 それに関連して第四のがん治療として注目されている、免疫療法についてお話を伺います。 今、国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。 がん治療にはどのような選択肢があるのか、メンタルは身体にどのような影響を及ぼすのかなど、がんに対する正しい情報を伝えていただきます。(聞き手:ageスタッフ)
前編はこちら
横浜クリニック 院長 青木 晃

将来のために、健康貯金をはじめよう

青木

今日本は「高齢化社会」ではなく、すでに「高齢社会」になっています。高齢になっても健康を保っているためには、健康なときから前もって健康の種をまいておかなければいけないわけです。その種をまくには、従来の治療医療のスタンスからアプローチしていたのではうまくいかないんですよね。ですから一対一で医者が治療を行うような従来の形ではなく、我々が企画して仕込んだものを、ユーザーである一般国民が使うということです。商品やサービスや旅行などを通じて普通に利用してもらう。例えばコンビニでアンチエイジングのお弁当を販売する企画を立てるとか、誰でも気軽に取り入れられることをできるだけ普及させていって、それを広くエンドユーザーが利用すれば、今よりは国民の身体が健康に向かっていきますよね。それを普及させるのがageの仕事のひとつでもあるわけです。産学官の連携によってつくったものを一般国民が使うことによって、無意識のうちに健康になっていくということですよね。

age

先ほども青木先生がおっしゃったように、健康維持のためには辛い我慢ではなくて、美味しかったり楽しかったりということを続けていくと、自然に健康になっていくというシステムが大切というわけですね。

青木

はい。同じ美味しいというものでも、知らないうちに健康によい美味しい物を食べているということです。例えばファーストフードやコンビニのものでも、そこそこ味は美味しくなっています。しかし本当に身体にいいものが使われているかというと、必ずしもそうとは言えません。我々が作る方が多少高価かもしれませんが、健康の基礎を作るという視点で選んでいかないと、「安・近・短」が一番いいみたいな考え方になって健康にはよくありませんね。

age

そういうインフラ作りのネットワークは、順天堂大学の白澤教授や青木先生を中心にして他にもネットワークが構築されているんでしょうか。

青木

実際にやり始めているのは我々ぐらいかもしれませんね。というのは、医者はあくまでも病院やクリニックにいるのが当然だ、という風潮がありまして(笑)。なかなかそれ以外の領域に足を踏み出せないのが現状です。アンチエイジング医療を提供している医者にしても、専門のクリニックがそう多くない現状であれば、やはり保険診療の自分の専門をベースにしながら、という形になってしまいますから。

ただアンチエイジングのインフラ作りは、医者に限らなくてもいいと思いますよ。医者がきちんと線引きをして、エビデンスのある医学的な実証を出していく。そして、これは身体にいいとか、アンチエイジング的だというものを、エンドユーザーに提供するような企業が取り入れてくれるといいですね。食の部分で管理栄養士ができることもありますし、あるいは健康運動療法士が、アンチエイジングエクササイズとして、フィットネスの部分をやってもいいですね。そのように普及していけば理想的です。

age

健康医療の提供は、医師免許がなくても十分に補えるところがあるわけですね。エンドユーザーである私たちも、病院に行くより緊張しませんし、楽しみながら気軽に利用できるのがいいと思います。

青木

そうですね。今まで試行錯誤しながらアンチエイジング医療の普及に努めてきましたが、結局すそ野が広がっていかないんです。それはやはり美容医療と違う点が大きいからです。

美容医療は結果がわかりやすく、費用対効果的なものが高いので、ユーザーの満足度が高くなりますよね。でも我々が内科でアンチエイジングドックを行ってその結果をお話して、ではサプリメントをとってみましょうとか、キレーション(解毒行為のひとつ)をやってみましょうと言っても、患者さんはすぐに効果を実感できない。そうすると、けっこう費用がかかる割には効果がすぐにわからないので、「もうやめてもいいか」となってしまいます。結果を早く求める今の時代には合っていないんですね。

富裕層をターゲットにしたクリニックもありますが、やはりごく一部の人に限られてしまいます。アンチエイジング医療や健康医療を従来のスタイルのもとに自由診療下で普及させようとしても、大変難しいのが現実です。



ageのひとこと

予防医療が気軽に受けられるようなインフラ作りが、将来の健康のためにとても重要だということがよくわかりました。コンビニやファミリーレストランでも、食育やアンチエイジングをもとにしたメニューが少しずつ出てきているようです。ただ、いくら商品やサービスが出てきても、ユーザーである私たちがそれを選ばなければ意味がありません。たまには健康を意識して、いつもと違うメニューを選んでみるのもいいですね。そんな小さなチャレンジが、心身を健康へと導くきっかけかもしれません。

保険診療下におけるがん治療の限界

age

ところでこちらの横浜クリニックで行っているがん免疫療法も自由診療ですが、そもそも青木先生が免疫療法をやるきっかけとは何だったのでしょう。

青木

きっかけはいくつかありますが、ひとつはアンチエイジングの4本の柱のひとつが免疫だということです。今まで抗酸化はずっとやっていましたし、ホルモンとメタボも内分泌代謝内科で自分の専門ですから、やっていないのは免疫だけだったんです。それから先ほど言ったように、アンチエイジング医療の現場で行き詰ったこともありますね。いくら自分でいいと思っていても、あるいは学会で認められていても、人がついて来ない、お客様がクライアントとして来なければ、自由診療のクリニックとして成立しないわけです。

しかしがんの免疫療法は、患者さんのニーズが確実にあります。それは今のがんの治療というものが、保険診療では、手術、抗がん剤治療、放射線治療の3つしかないわけです。がんにはステージ分類というのがありまして、鹸だと手術ができません。例えば食道がん、子宮頸がんなどの放射線が効く放射線感受性のあるがんなら放射線という選択肢もありますが、胃がんや大腸がんのように放射線が効かないがんだと、手術ができない場合、保険診療の領域では抗がん剤しかないわけです。患者さんは選択の余地もなく、そういう治療をやらざるを得ません。はじめは抗がん剤も効きますが、そのうちがんに耐性ができて効かなくなったり、副作用が強くて患者さんが参ってしまいます。そうなると医者もさじを投げて、あとは緩和医療ですね、ということになるわけです。

age

いわゆる「がん難民」になってしまうわけですね。

青木

そうです。しかし本当にもう手立てがないかというと、免疫療法、高濃度ビタミンC点滴などは、エビデンスはまだないかもしれませんが、やってみて実際予後がよくなっている方が少なくないんですよ。今までのがん治療のスタンス、いわゆる先ほど挙げた手術などの標準治療というのは、あくまでもがんを小さくすることが治療の成功であるわけです。

age

がんが消失するか小さくなるということですね。

青木

はい。腫瘍マーカーの値が減るとか、がんの大きさが何ミリ小さくなるとか、3つあった転移巣が1つになったとか、そういう客観的な評価です。でも免疫療法というのはそういう攻撃型がん治療とは全くスタンスが違って、がんがあってもいいじゃないかという考え方です。

age

それがいわゆる「がんとの共存」ですね。

青木

そうですね。がんがあっても、悪さをしなければいいじゃないかという考え方です。すなわち、がんをコントロールするという考え方ですね。撲滅ではなく、がんをなだめすかして共存していくのが免疫療法です。実際、80歳、90歳と長生きしていらっしゃる方で、本人が健康だと思っていても、調べると意外にがんがあるんですよ。自覚はしていないけれどがんと共存しているわけです。

age

そうらしいですね。「天寿がん」というらしいですね。

青木

はい。本当はその天寿がんが結構あるんです。だからがんと診断されても、考え方としてはそこから先、天寿がんにしてしまえばいいんです。

age

要するにがんとうまく共存しながら、天寿をまっとうすればいいのですね。

 
青木

そういうことです。私の義父が、やはり仕事をリタイアした時期に肺がんだとわかったのですが、糖尿病や高血圧があって、脳梗塞、心筋梗塞の病歴もあったので、強い抗がん剤が最初から使えなかったんですね。その時私がたまたま他のクリニックで免疫療法を手伝っていたので、免疫療法を試したところ、余命3ヶ月と言われていたんですが、結果的に2年半延命できました。しかも健康的な生活ができたんです。

age

QOLが上がったというわけですね。

青木

はい。いわゆる「肺がんによるがん死」という感じではなかったです。

age

抗がん剤などで、心身ともにボロボロになってしまうという話をよく聞きますが。

青木

それが全くそうではなかったんですね。身近にそういう例を見ているので、ああ、これがいわゆるがんをコントロールすることなんだなと実感できました。常識的に考えると、義父のがんの場合は3ヶ月で間違いなく亡くなっていた状態でしたから。わたしも研修医の時に同じような状態の患者さんをたくさん診てきたのでわかるわけです。それで標準治療を受けることができなくなった段階で、主治医に相談して免疫療法を試したのですが、その効果に先生も正直びっくりしていました。

age

それでも保険診療として認可されないというのは、まだデータが充分でないということでしょうか。

青木

そうですね。それはデータ量だけの問題ではなく、評価の方法がまず違うということがあります。義父の場合多少がんが小さくなったんですが、ほとんど変化がない期間が長かったんです。ですから従来の評価の仕方でいうと、がんが小さくなっていないのだから、治療の効果としては効いていないという方に入るわけです。

age

つまり、現状維持は評価として認められないんですね。

青木

はい。そこに生存率等が関係してくればまた変わるでしょうが、やはり分かりやすい数値としては腫瘍マーカーであったり、がんのサイズで判定されますから。いわゆる小さくするがん治療ではないので、従来の評価とは違ってきますよね。ですから免疫療法というものが、はなから否定される理屈はあまりないと思うんです。もちろん大学でも研究はされてきていて、いくつかのがんに対しては効果が認められるという、きちんとしたエビデンスも出てきているわけですが、やはり従来のがん治療の評価システムと違うので、始めからがんをやっている先生たちは相手にしないんですね。

高濃度ビタミンC点滴などもアメリカでかなり広まりつつあって、いいというデータも出ているし反論もあったりしつつも、だいぶ定着してきました。その理由は、なんと言っても副作用が格段に少ないからです。細胞免疫療法や高濃度ビタミンC点滴療法のいいところは、身体が参らないというところです。がんの患者さんはまず心ががんという病気でやられて、その上につらい副作用で様々な症状に苦しめられて、ネガティブなことばかりじゃないですか。QOLが下がりまくるようなことばかりなんですね。それはどうしたってメンタルな部分でくじけますよね。まずそこでくじけていたら、がんにやられ放題になってしまいます。

age

本当にそうですね。単なる風邪でさえ、気分が落ち込んでいるときは治りにくい気がします。

 
青木

ええ。そういう当たり前と思われることでも、エビデンスという科学のデータを出せという話になってくると、なかなか難しいですよね。ただ医学が科学である以上、科学的な分析や評価がもちろん必要なんでしょうけれど、逆に今の時代はそれだけではないとも思います。だからこそ代替補完医療というものが、アメリカでもたくさん研究されて見直されてきているわけですし。

例えば統合医療(西洋医学による医療と代替医療をあわせて患者を治療すること)の世界的権威であるアンドルー・ワイル教授などですね。はなからそういうものは全く関係ないという先生もいるわけですが、じゃあ、一般の民がどう考えるかというと、現代西洋医学の冷たさに辟易したりしているわけですよ。だから日本でも、ホリスティック医学(人間をまるごと全体でみる医学)の第一人者である帯津良一先生のところへ多くの人が行っていますよね。それこそ駆け込み寺のようになっているわけです。決して悪いことではないのですが、エビデンス的には評価されていないんですよね。その評価というのが、医学的な評価である必要は私はあまりないと思うんです。帯津先生もご自分の信念のもとにやられていますし、ある意味「免疫革命」で有名な安保徹先生などもそうですしね。

age

でも、実際に細胞免疫療法でがんが小さくなったり、消失したりすることはありますよね。

青木

はい、もちろんあります。それは最先端の細胞免疫療法によるところもあるでしょうが、やはり副作用がなくて、やったあとに元気になったりすると、患者さんのメンタルな部分が前向きになってくるわけです。そういう二次的三次的な作用も含めていい方向に身体のメカニズムが回っていってそれで良くなっていくということは十分あり得ると思うんです。それだけでは非医学的だと言われてしまいますが(笑)、人間の身体ってコンピューターのような物体ではないですし、心や感情のある生物ですよね。実際、病は気からという古事があることは誰も否定できないわけですよ。病は気からを実証することは難しいかもしれませんが、逆に病は気からがうそだということを実証することも難しいですよね。

age

そういう背景もあって、「がん哲学外来」がすごい人気になったりするんですね。

青木

そういうことです。順天堂大学の樋野興夫教授がやっていらっしゃいますね。やっぱりそういうニーズが絶対あるわけですよ。患者さんはゆっくり医者に話を聞いてもらいたいという気持ちが強いので、我々のクリニックでもまず徹底的に患者さんから話を聞きます。そうすることによって、良くなる方向にメンタルを向けるわけです。がんが治るという言い方はしませんが、がんがあってもいい、コントロールすればいいんだということを話すと、患者さんはすごく安心しますね。

age

患者さんが医師とそれほどじっくり話すことはまずないでしょうから、ただ話を聞いてもらうだけでもずいぶんストレスが軽減されるでしょうね。

青木

そうだと思います。通常は流れ作業ですからね。「検査結果を伝えます、がんが見つかってステージ犬納蟒僂呂任ません、抗がん剤はこれを使います、効果は25%ぐらいです、ですから余命は約半年です、悪いと3ヶ月です…」と事務的にはっきり言われます。それで、どうしますかと聞かれるわけです。

age

がん宣告されて頭が真っ白な状態で、一番頼りにしたい主治医がとても相談できるような雰囲気ではなかったら、絶望感と孤独感で治療以前に相当参ってしまうと思います。



ageのひとこと

免疫療法はがんとの共存という捉え方を基本にしています。持病とうまくつきあいながら一生を終える人もいるわけですから、がんもその様に捉えて治療するという考えですね。保険診療ではないですが、従来の標準治療以外に選択肢があることは、患者さんにとっては救いや希望ではないかと思います。その希望こそが、免疫力アップにも大いに役立っているのですね。



・がん哲学外来http://www.gantetsugaku.org/

青木晃

青木晃氏 プロフィール
順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授を経て現在横浜クリニック院長。NPO法人日本エイジマネージメント医療研究機構理事。1961年東京都生まれ。1988年防衛医大卒。内科的アンチエイジング医療を第一線の臨床で実践するアンチエイジング医学の第一人者。アンチエイジングクリニックやアンチエイジングレストランなどのプロデュースも手がけ、アンチエイジングビジネスのスーパーバイザーとしても知られる。TV、ラジオ、雑誌、講演会などのフィールドでも幅広く活躍中。

http://ameblo.jp/draa/

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