age managment

文字サイズ small base big

日本エイジマネージメント医療研究機構 抗加齢医療の健全な普及に向けて

イベント&セミナー 詳しくはこちらから
ハッピーエイジングとは 詳しくはこちらから
HOME > ハッピーエイジャー対談 > バックナンバー一覧 > 第8回(前編)“予防医療新時代”と免疫療法の可能性

ハッピーエイジャー対談

第8回(前編)“予防医療新時代”と免疫療法の可能性

横浜クリニック 院長

青木 晃

今回は当機構(略称:age)の理事である青木晃先生に、ご専門であるアンチエイジング医療や予防医療について、普及のためにはどのようなアプローチが有効なのか、全く新しい視点からの予防医療のインフラ作りを紹介していただきます。 それに関連して第四のがん治療として注目されている、免疫療法についてお話を伺います。 今、国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。 がん治療にはどのような選択肢があるのか、メンタルは身体にどのような影響を及ぼすのかなど、がんに対する正しい情報を伝えていただきます。(聞き手:ageスタッフ)
横浜クリニック 院長 青木 晃

◆外見を気にする人は長寿?

青木

まず、ageが目指すのは、あくまでも健康長寿で、生涯いきいきと暮らせること、年齢を感じさせずに、人生を楽しみながら生きるということですよね。

それを実現させるには、言うまでもなく健康が根本にあるわけです。誰でも若いころは、特に健康を意識することはありません。しかし40代後半から50代、60代になってくると、体のあちこちが悪くなってくる人が多い。そうなって初めて、健康のありがたさを実感する人がほとんどです。

日本の医療制度の現状をみても、やはりある程度若いうちから健康というものを意識して、セルフコントロールしていかなければいけません。

健康って普段は当たり前のように思っていますが、実は非常にありがたいこと。

そのことをどうやって日頃から意識させて、よい生活習慣に変えさせるかということが、医療従事者にとって大きな課題です。

かといって健康おたくになれ、というのではありません。生活の中で少しでも健康を意識する。そんな小さな積み重ねが、生涯いきいき暮らせる秘訣ですと、我々が絶えず発信していくべきだと思います。

それはある意味「アンチエイジング」というひとつのキーワードでもあるわけですが、特に女性はアンチエイジングと聞くとモチベーションが上がりますね。

age

外見に変化が表れるとわかりやすいですからね。

それは精神的にもすごくよい影響が表れると思います。

青木

そうですね。いつまでもきれいで若々しくいるということに関しては、女性は非常に前向きですから。

実際その美容的なことを女性がやるときに、「外見だけではなく、体の内側もきれいにしよう」という意識を持たせることが、アンチエイジング的な医療を普及させるためのひとつの手段でもあるわけです。

では体の内側からとは具体的に何かというと、それはやはり食べているもので体ができていますから「食」ということになります。

例えばコラーゲンやビタミンCなど、女性はきれいになるための工夫を食事やサプリメントで摂りますよね。そうすると、実は肌にいいことは体の内側にも良かったりするので、女性は男性よりも長生きなのかな?ということも考えられるわけです。

女性の美に対するモチベーションが、結果的に体の内側をきれいにすることにもひと役買っているんです。

一方男性はどうかというと、男は見た目じゃないよ、中身だよという風潮が昔からあって、お腹が出ても割合気にしない人が多い。多少恰幅があっていいとか、貫禄があっていいというような捉え方があります。それが健康を害することにつながっているんです。

ですから男性のアンチエイジングというのは、我々からしてみると女性と比べて啓蒙・啓発の部分では難しいんですよ。

でも、例えばageの理事長もそうですが、北原照久さん、矢沢永吉さんみたいに、いつまでも元気でかっこいい男性というのは、男から見て憧れじゃないですか。そこから一歩進んで、そういう人たちのライフスタイルは?普段の食事は?というところに皆さんが興味を持ってくれるといいんですよね。

age

ステキな人に憧れる。そんなところから、アンチエイジングライフの第一歩が始まるんですね。最初は単に「見た目を変えたい」という動機でも、結果的に体の内側も健康的になれるなんていいことばかりですね。

ageのひとこと

「綺麗になりたい」「趣味の世界を広げたい」など、自分なりの目標を持って生きること。そうすると自己管理にも気を配るようになり、結果的に心身ともに健康でいきいきした人生が送れるわけですね。体の内側・外見・メンタルが関係しあって、美しさや健康をつくっていることを忘れないようにしたいです。

◆抗加齢医学が目指す4つの目標

青木

抗加齢医学の話になりますが、医学的には4つの項目を達成することを目指しています。1つは「錆びない身体」。これはいわゆる抗酸化で、京都府立医科大学の吉川敏一教授がご専門に研究されています。2つめは「ホルモンを枯らさない」。成長ホルモン、性ホルモン等の加齢と共に減ってくるホルモンを、できるだけ減るスピードを遅くしてあげること。3つめが「メタボにならない」。メタボリックシンドロームというのは動脈硬化を起こして血管が老化するのですが、全身の60兆個の細胞のエネルギーを供給するのが血管ですから、血管が老化してはまずいわけです。4つめが「免疫力を落とさない」。免疫力が落ちるとインフルエンザや風邪に罹り易く、治りにくいのはもちろんですが、もうひとつ重要な問題はがんなんですね。

がんも「がん免疫」という免疫が関係しているのがわかってきました。免疫力が落ち、がん年齢になってきた時に免疫力を維持する方法は何かというと、質のよい食事や運動、そして重くて強いストレスを長く受けないといったことです。これは先に挙げた抗加齢医学の4つの項目に共通しています。重要なのは、これらのことを国民に実行してもらいたいということです。実は今言った食事と運動というのは、糖尿病治療の二つの柱でもあるわけです。でも糖尿病患者の方に食事療法とか運動療法をやりなさいと言うと、好きなものが食べられない、運動は嫌い、運動する時間もないというマイナスイメージが浮かんでしまい、実行することが難しいですよね。 結局のところ、生活習慣病外来で多くの患者さんができないということを、いかに実行してもらうかということが重要なポイントになってきます。

文明社会において生活習慣病がこれだけ増加してしまったのは、美味しい物はたくさん食べたいけれど、運動はめんどうだし、できるだけ楽をしたいといった意識が習慣化してしまったからです。すぐ車に乗ったり、電化製品やリモコンに頼った生活が、老化をどんどん加速させているんですね。そういったことを、きちんとした形で国民に教えていく必要があります。なにも食事療法と運動療法という、なんとなく説教臭いような切り口ではなくて、こんなに楽しみながら自然に健康になれますよということを、アンチエイジングの現場ではやろうとしています。

ageのひとこと

アンチエイジングというと、いまだに女性の美容に関することと思っている人もいますが、本来抗加齢医学は「抗酸化」「ホルモン」「メタボ」「免疫」をキーワードに、健康長寿やQOL(生活の質)の向上を目指すものです。しかし、カロリー制限や運動が健康に良いと分かっていても、なかなか実行・継続できないのも事実です。運動などが無理なく続けられるコツはないものでしょうか・・・。

思わず試したくなる楽しい予防医療とは

青木

我々の試みのひとつに、アンチエイジングのインフラを作るということがあります。例えば今私が注力しているのが、イタリアンやフレンチのレストランでアンチエイジングの料理が食べられるというようなことです。一般的に美味しいものやフレンチレストランの料理というと、こってりして高カロリーと思われがちですが、食材や食べ方を選べば血糖値の上昇も抑えられるし、メタボにもなりにくい。「なるほど、こういうやり方でいいのか。」と思わせる企画がインフラとして普及されていくといいですよね。要するに、今までは好きなものが好きなように食べられるという意識だったんです。世の中に美味しいものはたくさんありますので、結局自分の好みに偏ってしまい、栄養バランスも崩れてしまいます。そういうことを是正するときに、我々は従来の食事療法や運動療法とは全く違うアプローチで、インフラを作ろうとしているんですよ。

たとえばレストランでAというメニューを美味しく食べたら、実はそれが身体を健康にする料理だったというイメージです。あえてアンチエイジングとか抗加齢医学の前置きをしなくても、または患者に病識がなくても、抗加齢医学のエッセンスが入った食事を摂ることで、自然に健康医療を享受できているわけですね。そういうやり方でないと、自覚症状のない生活習慣病の人たちにいくらお説教しても聞かないわけですよ。本当に悪くなって受診する人がほとんどです。そうではなく、健康な人が無意識のうちに健康医療を受けられるシステムというのがポイントになってくるということです。それがレストランであったり、もう少し進んでくれば、健康にいい料理のレシピを覚えてもらうとか、あるいは健康にいいコーナーを作っておいて、食材はそこで買うとかですね。そのような形でインフラがだんだん整備されてくると、自然に健康医療を享受できますよね。

もうひとつは運動ですけれど、今運動に関しては二極化していて、運動が好きな人たちもたくさんいます。ジョギングしたり、フィットネスクラブに通ったりしている人も多いですよね。一方運動習慣がない人を調べてみると、特に男性の場合は圧倒的に、忙しくて運動する時間がないという理由が多い。それから年齢が高めな人、特に女性に多いんですが、運動すると疲れるから嫌だとか、翌日どこかが痛くなるからやらないという人が多いんです。そういう人たちがフィットネスクラブに行って、トレーナーからこのプログラムをやれと言われても、かえって身体が痛くなったりして疲れてしまう。つまり、運動できる身体になっていないんですね。

ですからそういう人たちは、整体やカイロなどを利用して、運動できる筋肉にリセットしてあげたり、関節の可動域を広げてあげたりということが必要です。他動的なストレッチ、いわゆる手当てですよね。プロの人たちの手によって、身体が楽になってきたとか、肩や腰の不調が無くなったというように運動できる身体にリセットされると、運動が苦ではなくなってきます。そこからがスタートなんですよ。私がよく言うのは、一ヶ月間黙ってラジオ体操をきちんとしてみなさいということです。子供の頃はラジオ体操なんて運動ではないと思っていたのが、今はできない身体になっているんですね。インストラクターと全く同じようにラジオ体操をやると、結構身体がほぐれてきますよ。それよりもう少し費用がかかりますが、カイロや整体、接骨医の先生に、身体のゆがみ、ひずみ、身体の硬いところを一度リセットしてもらう。そういうことをしてもらうだけで違ってきます。

あとは、運動したくても忙しくて時間がない人たちが、日常の生活の中でいかに運動を取り入れるかというと、私はゲームをお薦めします。Wii Fitや今私が使っている任天堂のDSなど、ゲーム感覚でできるものは楽しみながら続けられますよね。糖尿病外来で医師から「歩数形をつけて毎日一万歩歩きなさい」「エレベーターを使わないで階段で」「一駅分手前で降りて」などと言われるわけですけれど、そういうことができる人たちは最初から糖尿病になりませんからね(笑)。私は自分の糖尿病の患者さんに、自分も続けているDSを教えてあげると、実際にやってくれるんですよ。おもしろいからはまるんです。特に40代ぐらいでお子さんもいる家庭など、子供や奥さんと一緒にやってみようということになります。そういうゲーム感覚や競争の面白さがないと、ただ黙々とやるのは苦痛になって結局続きません。アプローチひとつでも、新しい視点からアイデアを出さないと健康医療というのは実現できないですね。

age

それで青木先生自らモニターとなってDSを試したり、アンチエイジングのレストランに行ったりなさっているわけですね。

ageのひとこと

確かに頭では理解しても、健康的な生活習慣を継続して実践するのはなかなか大変です。楽しみながら健康になれるツールや方法を利用して、気が付いたら健康になっていたというパターンが理想的ということですね。青木先生のお話を参考に、自分に合った方法をいくつか試してみてはいかがでしょう。

・任天堂DS「歩いてわかる生活リズム」http://www.nintendo.co.jp/ds/imwj/

・ジョンティ アッシュ(フレンチレストラン)http://www.positivefood.com/gentil-h/index.htm

・トラットリア ラ エネルジーア(イタリアンレストラン) http://www.la-energia.info/antiaging.html

「病は気から−」は本当

青木

それからメンタルの部分でも、趣味をできるだけ広げることが大事です。40代、50代になってくると、どうしても自分の生活パターンが決まってきます。色々面倒になったり趣味も限定されたり、無趣味の人もいるわけですよね。やはり何歳からでもいいから新しいことに日々チャレンジする気持ちが大切です。それがメンタルの活性、脳の活性にもつながるんです。いわゆる前向き思考ですよね。もともと性格的にネガティブに考えがちな人もいると思いますが、病は気からじゃないですけれど、やっぱり心というのはすごく重要なんですね。男性の場合、定年退職するとがんになる人が多いんです。自分は会社をしょって立っているとか、日本を動かしているとか、家族を養っているといったように、男性というのは自分がいるから世の中がまわっているという気概があって仕事をしている部分がある。特に団塊の世代の人たちにその傾向があります。そういう人たちが定年を迎えて、今までの張り詰めていた緊張感が実は免疫をよい状態に保っていたのが、ふと気が緩んで免疫力が低下してがんになる人も多いんですよ。自律神経のバランスも崩れがちになりますし。

age

うつ病になったりする人もいますよね。

青木

ええ。男性のうつ病も、男性の更年期と言われることが最近多いんですが、それは異論もあります。もちろん男性ホルモンが関係する場合もありますが、定年退職をきっかけにしたうつ病というのが問題になっています。

age

それは生きがい喪失みたいなことが原因でしょうか。

青木

はい。やはり生きがいというのはすごく重要です。三浦雄一郎さんが70代にして二度エベレストに登ったというのは、彼はそれを夢・目標・生きがいにしていて、だからこそあれだけのことが達成できたんですね。

age

そんな三浦さんでも、一時はメタボ気味だったと聞いていますが。

青木

そうなんです。現役を引退して65歳頃までは、実際にメタボでした。その時「自分の夢はなんだったか」ということをもう一度思い起こして、それでエベレストに登ろうと決めたんです。実は三浦さんは、食事に関して結構いい加減なんですよ(笑)。

age

そうらしいですね。心臓も特別強いわけではないとか。

青木

はい。高い山では重症不整脈が出たりとか、結構動脈硬化もあったりして。決してオプティマルヘルス(その年齢における最善の健康状態)ではないんです。

age

三浦さんのお父様も101歳まで現役スキーヤーというすごい方でしたが、いわゆる遺伝的に健康体質だというわけではありませんよね。

青木

お父様の三浦敬三さんも足腰はものすごく強いのですが、意外に上半身の骨は弱かったり、ある程度の動脈硬化もあったりしました。アンチエイジングの視点からはオプティマルヘルスの実現が理想的ですが、一概にそうとも言い切れないんですね。ですからそういう場合には、身体的な弱点を補填する何かがあると考えられるんです。

age

やはりメンタルですか。

青木

メンタルでしょうね。生きがいを持っている人たちは実際若々しいということです。ですから、がんに関しても患者さんのメンタルの状態で治療効果が変わったりします。がん免疫療法を行っているとき「まあ、人間いつかは死ぬんだからしょうがないか」と前向き思考でいる方の方が、治療効果が上がることがありますね。

age

エビデンスはないかもしれませんが、実際そのようなことはあるでしょうね。

ageのひとこと

仕事でどうしても休めない時など、忙しくても風邪を引かないのに、休みに入ったとたんに体調を崩すことがあります。気が張っていて、病気が入り込むスキがないのかと思っていました。きっと適度なストレスが免疫力を高めていたんですね。

青木晃

青木晃氏 プロフィール
順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授を経て現在横浜クリニック院長。NPO法人日本エイジマネージメント医療研究機構理事。1961年東京都生まれ。1988年防衛医大卒。内科的アンチエイジング医療を第一線の臨床で実践するアンチエイジング医学の第一人者。アンチエイジングクリニックやアンチエイジングレストランなどのプロデュースも手がけ、アンチエイジングビジネスのスーパーバイザーとしても知られる。TV、ラジオ、雑誌、講演会などのフィールドでも幅広く活躍中。

http://ameblo.jp/draa/

top
バックナンバー一覧
〒106-0032 東京都港区六本木5-1-3 ゴトウビルディング 1st 6階 TEL 03-3478-7111 FAX 03-3478-7125
Copyright 2007. 日本エイジマネージメント医療研究機構. All rights reserved.